この世で最も美しい旋律を買いた作曲家は誰か?という問いへの答えで、筆頭に上がるのが、モーツァルトでしょう。
アインシュタイン、ノーベル物理学賞を受賞した小柴博士、神武以来の天才と言われる将棋の加藤一二三九段も、モーツァルトをこよなく愛しているとのことで、著名人にもモーツァルト愛好家は大変多いですね。
何故これ程までにモーツァルトは人々に愛されるのでしょうか?ひとことでいうと、「美しい旋律の自然な流れ」ではないでしょうか?
モーツァルトの音楽は、あくまで自然の流れに任せているような、心地良い流れに満ち溢れています。どこまでも明るく、自然。子どもがピアノの発表会でよく弾くハ長調のソナタ(K545)を例にとってみても、音楽自体に全く人為的な感じがなく、自然で明るく、心地良い流れが続きます。一昔前に「頭が良くなるモーツァルト」の研究で話題になった、二台のピアノのためのソナタ(K448)も、楽しい二台のピアノの掛け合いで、どこまでも明るい。こういってしまうのも何ですが、モーツァルトの音楽には、作曲に苦しんだ様子が全く感じられないんですよね。(もっとも、本人はとても作曲に苦心した可能性はありますが、こればかりは歴史上の人なので、何とも分かりません。ただ現実問題、僅か35年の人生で何百曲も作曲しているのですから、相当なペースで書かないと、じっくり練りに練って考えて作るなんて、無理だと思います。)それくらい、自然な流れに満ち溢れています。
例えば、モーツァルトより14歳年下のベートーヴェンの音楽は、これとは対照的で、「意志の力」が感じられ、時には「なんじゃ、こりゃ?」というような箇所があったりもします。これはこれで魅力的ではあるのですが。
ところで、演奏となると、モーツァルトには独特の難しさがあります。一見、譜面を見ると、後の時代のロマン派の作品より簡単に見えるのですが、一音外しただけで結構目立ってしまったり、と、しっかりした正確なテクニックが無いと、なかなか弾きこなせないんですね。しかしそれだけに、しっかりと練習しがいがあるともいえます。ジャズピアニストのキース•ジャレットも、モーツァルトに取り組むようになってから、ピアノのタッチが大幅に向上した、と語っている通り、均質で美しいピアノタッチを養う上でも、モーツァルト作品は大変重要と言えるでしょう。
因みに、モーツァルトの作品には短調の曲がとても少ないですが、その数少ない短調の曲はどれも名曲です。イ短調のピアノソナタ(K310)や、ト短調の交響曲第40番(K550)など。何百曲とある名曲の中で、多分そんなに多く無いと思います。是非、色々聴いてみてください。