ピアノ教本といって、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが、バイエルピアノ教本でしょう。ドイツのピアニスト・作曲家、フェルディナント・バイエル(1806-63)によって作られた教則本は、長らく日本のピアノ教育のスタンダードとして定着してきました。私もピアノレッスンの最初は、この教則本で、「ドレドレドレ~」からスタートしました。
最近では大量の(ある意味”退屈”な)基礎トレーニングや、中央ドが定着しにくいこと、左手を学ぶのがやや遅くなることなどへの批判もあり、昔ほどは使われていないようです。今は、アプリ音源に対応していたり、1冊の分量を少なめにして楽しい装丁になっていたりと、本当に多種多様な教則本がありますね。
この本からスタートした自分としても、この本でなければならない、というほどの必然性はないな、というのが正直な思いです。ピアノの入門書とは、要は、その後バッハやベートーヴェン、ショパン、さらには本人の志向に合わせポピュラー等の作品を弾くためのステップにつながればいいわけですから、そこに良い形でつながれば何でもいいわけです。自分の子どもにもピアノを習わせていますが、トンプソンやフェイバーピアノアドベンチャー、オルガンピアノの本など、楽しくて効果がありそうなものを適宜使用しています。
その一方で、バイエルも、選択肢の一つとしてはいまだに有効かと思います。やはり、基礎トレーニングを大量にこなすことは、確実にテクニックを身に着ける上で非常に効果的な面もありますので、「量をこなす」ことが苦でなく楽しめる人にはお勧めできますし、他のテキストとの組み合わせで、適宜チョイスして使用することも、ありでしょう。
大人になった今、当時のレッスンの先生の書き込みを見返してみると、自分の音楽のルーツを見ているようで、懐かしい気持ちなります。